環境問題を解決したいコンサルタントの日記

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3年後、街中で見かける電気自動車は今の約14倍?~日本・他国のEV政策と日系メーカーの目標比較~

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街中で電気自動車を見かけることが増えましたね

2018年4月には日産の電気自動車(EV:Electric Vehicle)であるリーフの国内販売台数が累計10万台を超えたと発表があり、また5月には2018年度の国内販売台数を前年度の2倍である4万台にすると発表しています

また、イギリスやフランスでは「2040年までにガソリン車及びディーゼル車の販売を停止」と発表済であるように、他国ではEVを普及させようとする政策がとても意欲的であり、世界的に電動化の波がやってきています

では日本はどのような政策スタンスなのか、また日系メーカーは今後どのようにEVを普及させようとしているのかを調べてみました

 

・他国のEV政策ーガソリン車販売停止を掲げる国も

上述のように、イギリスやフランスは、2040年までにガソリン車及びディーゼル車の販売を停止すると2017年7月に発表しています
インドにいたっては「2030年までにガソリン車及びディーゼル車の販売を停止し、電気自動車のみにする」と大変意欲的です

国名 政策の詳細
イギリス

2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を停止し、

電気自動車(バッテリー及びハイブリッド車)のシェアを向上

フランス

2040年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を停止し、

電気自動車(バッテリー及びハイブリッド車)のシェアを向上

インド 2030年までにガソリン車・ディーゼル車の販売を停止し、電気自動車のみにする
中国 電気自動車、プラグイン・ハイブリッド自動車、燃料電池車などの新エネルギー車の国内生産割合の増加を促進
ドイツ ディーゼル車の技術革新及び電気自動車への投資を推進

出所:外務省HP

 

・日本のEV政策ー消極的で具体的な施策に欠ける

一方で、日本はクリーンエネルギー閣僚会合によるイニシアティブである「EV30@30キャンペーン」に参加し、「2030年までに全ての自動車(バス、トラック含む)を対象に、新車販売シェアに占める電気自動車(EV)の割合を、参加国全体で30%以上とすることを目指す」という目標達成を目指しています

しかし、この目標は上記表中のフランス、インド、中国も参加しており、また目標は国別ではなく参加国の合計で達成を目指すものであるため、今のままでは日本が優位に立つのは難しいでしょう

日本としての現状の施策は、「未来投資戦略2017-Society5.0の実現に向けた改革-」に記載されており、「2030年までに乗用車の新車販売に占める次世代自動車の割合を5~7割とすることを目指す」としています
具体的にはEV・PHV*1の普及台数を2020年までに最大で100万台とすることを目指すというものですが、これは他国に比べると消極的な目標と言わざるを得ません

出所:首相官邸「未来投資戦略2017-Society5.0の実現に向けた改革-」

 

なぜなら、2018年2月末の日本における自動車保有台数は約8,200万台で、そのうちHV・PHVの保有台数が約650万台(最新の2017年データ)であることから、日本の保有台数はほぼガソリン車が占めていることがわかりますが、イギリス・フランス・インドがこれを販売停止にしようとしているのに対し、日本はたった100万台を目指すという規模感だからです
2017年の日本における電気自動車保有台数は7万3,000台なので、3年で約14倍の100万台を目指すというのは意欲的と言えるのかもしれませんが・・・

出所:一般財団法人自動車検査登録情報協会HP

 

・世界全体のEV保有台数と今後の見通し

国際エネルギー機関(IEA)発表によると、グローバルにおける2016年のEV保有台数は200万台を超えています
今後2025年までにEV保有台数は4,000~7,000万台に達する見通しです
普及を後押しする方法として、IEAは官民双方で業務用EVを導入することが重要と指摘しています

出所:IEA「Global EV Outlook2017」

・日系メーカーのEV普及戦略

次に日系メーカーのEV販売目標を比較してみます
トヨタはEVだけでなく、FCV*2も含めて2030年に100万台の普及を目指しています
日産はEVに特化し、トヨタよりも早い2022年までに100万台を販売する目標を掲げており、大変意欲的な目標です
一方、マツダはあえてガソリンエンジンの効率化を推進するとし、ホンダは具体的な施策に欠けている印象があります

以下が詳細です

 

①トヨタ自動車
目標2030年にグローバル販売台数における電動車を550万台以上、EV・FCVを合わせて100万台以上の普及を目指す
施策:中国を皮切りに、日本・インド・米国・欧州に順次導入し、2020年代前半にグローバルで10車種以上に拡大。また、2025年頃までにグローバルで販売する全車種を電動専用車(HV*3・PHV・EV・FCV)及び電動グレード車(HV・PHV・EV)とすることで、エンジン車のみの車種をゼロにする

出所:トヨタ自動車HP

②日産自動車
目標2022年までに、EVを年間100万台販売することを目指す*4
施策:「リーフ」を基盤として、EVを新たに8車種開発、軽自動車への投入も行う

出所:日産自動車HP

③本田技研工業(ホンダ)
目標2030年に四輪車でグローバル販売の2/3を電動化することを目指す
施策「EV開発室」を設置済で、FCVに加え、EVの開発を強化していく

出所:本田技研工業HP

④マツダ
目標:EVやFCVではなく、次世代ガソリンエンジンの開発を進める
国や地域ごとにエネルギー・インフラの状況や利用環境は異なるため、内燃機関の効率化が最も良いと判断

出所:マツダ「マツダサステナビリティリポート2017」

⑤三菱自動車工業
目標:上記②と同様(ルノー・日産連合の一員であるため)

 

・政府目標達成のため、メーカーとより連携すべき

日本政府の「EV普及台数を2020年までに最大で100万台」という目標と、日系メーカーが掲げる目標を見てみると、平仄が合っていないように感じます
日系メーカーが明確に数字で掲げている目標は、トヨタの「2030年にEV・FCVを合わせて100万台以上」と日産の「2022年までに100万台」であり、2020年までに100万台を突破できるかは不明確だからです

具体的な政策を打ち出す前に、トヨタや日産といったメーカーが既に明確な目標・施策を掲げているという現状に危機感を覚えるべきであり、「2020年までに最大で100万台」という政府目標を最低限達成できるよう、政策的にメーカー側と連携していくべきです

 

・最後に

日本政府は政策をより意欲的・具体的なものにし、日系メーカーを後押ししなければ、EV普及のグローバル競争で優位に立てないでしょう

今夏、経済産業省から「日本版EV戦略」が発表される予定なので、ここでメーカー視点に立った、具体的な政策が示されることを期待しています

*1:プラグインハイブリッド自動車:Plug-in Hybrid Vehicle

*2:燃料電池車:Fuel Cell Vehicle

*3:ハイブリッド車:Hybrid Vehicle

*4:e-POWER搭載車(外部から充電する代わりに、エンジンで発電してモーターだけで走る車のこと)を含む

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