国連の発表によると、海に流出しているプラスチックの量はおよそ年間800万トンにもなります
問題は、流出によって生態系に対して単に悪影響を及ぼすだけでなく、我々の食生活にも害となりうる点です
今回は、これについて紹介します
1.プラスチックは自然界で分解されにくい
大前提として知っておくべきことは、プラスチックはいくら小さくなっても、自然界で分解されにくいということです
例えば落ち葉や動物の排泄物などの有機物(炭素を含み、加熱すると炭や二酸化炭素を排出するもの)は、自然界に生息する微生物が無機物に分解してくれます
しかし、プラスチックは有機物ではあるものの、自然界では分解されにくい性質を持っています
2.海洋生態系に悪影響を及ぼすマイクロプラスチック
直径5ミリメートル未満の小さなプラスチックのことをマイクロプラスチックと呼びます
これは海に流れ出たプラスチックが紫外線に当たったり、砂にもまれたりして小さく砕けたものです
特に外洋でマイクロプラスチックが多く見つかっており、環境省の平成28年度発表*1によるとマイクロプラスチックの海中密度は0.03~1.9個/m3となっています
では、マイクロプラスチックが海中にあるとどんな影響を及ぼすのでしょうか
①有害物質が付着しやすい
マイクロプラスチックは海中の有害物質(残留性有機汚染物質:POPs*2)を吸着しやすい性質を持っています
②食物連鎖によって人体に蓄積する
食物連鎖とは簡単にいうと「食べる、食べられる」の関係のことです
マイクロプラスチックは動物プランクトンが植物プランクトンと間違えて食べてしまっていることがわかっています
上述したPOPsは蓄積されやすい性質を持つため、動物プランクトン⇒魚へと有害物質が移っていき、最終的には人体に侵入することになるのです
3.貝や魚の中からマイクロプラスチックが発見された
具体的な悪影響について、最近懸念すべき内容の研究結果が発表されました
英ハル大学とブルネル大学ロンドンの共同研究チームは、2018年6月、英国のムール貝を対象にマイクロプラスチックの含有の有無を調査し、その結果を学術雑誌「エンバイロメンタル・ポリューション」で発表した。
これによると、すべてのサンプルがマイクロプラスチックを含有。英国内で養殖されたムール貝よりも沿岸で水揚げされた天然物のほうがその含有量は多く、英国内のスーパーマーケットで流通しているムール貝については、調理済みのもののほうが生で販売されているものよりも多くのマイクロプラスチックを含有していた。
ムール貝の消費を通じて、人間の体内には、ムール貝100グラムあたり70粒のマイクロプラスチックが侵入していると推定
上述したマイクロプラスチックの海中密度0.03~1.9個/m3という数字は多いのか少ないのか判断しにくいですが、全てのサンプルがマイクロプラスチックを含有していたというのはとても懸念すべき内容です
マイクロプラスチックを摂取することによる健康被害についてまだ明確ではないことがなんとも怖い・・・
4.マイクロプラスチックに対する対策
では、今現在どのような対策が行われているのでしょうか
一つは、そもそもプラスチック製品を作らないという対策です
米国やフランス、イギリスなどは相次いでマイクロプラスチック入りの製品の生産や提供を禁止しています
しかし、日本は2018年6月11日、具体的な影響がわからないといった理由で、プラスチック削減対策を進める「海洋プラスチック憲章」に署名しませんでした
みなさんはこれをどう思うでしょうか
二つ目に、プラスチックを食べて分解してくれる微生物がアメリカ、イギリスの共同研究チームによって発見されており、微生物に分解してもらうという対策です
これは解決策とはなり得るので今後に期待したいところですが、すぐに解決する問題ではないと思います
5.最後に
みなさんはこの問題ご存知でしたか
日常生活において何気なく食べている貝や魚に有害物質を含んだマイクロプラスチックがもし入っていたらと思うととても心配です
このことが原因で不買運動となってもそれはそれで問題なのですが、知識として頭の片隅には入れておきたいものです
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